【カナダで大学院】初セメスターを終えてみて

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本日、最終の成績発表とともに9月から始まった秋学期がようやくひと段落!クリスマスホリデーに入りました!!

怒涛の3ヶ月半。まさにジェットコースターで、最後の方は最早瀕死の状態でしたが(笑)それでも、なんとかゴールにたどり着きました。ブログも学期始めに書いたきりになってしまったので、ここで一度、今学期について振り返りをしたいと思います。

久しぶりなので、ちょっと簡単に自己紹介と今までの経緯を・・・。

私は、カナダの大学院で学ぶ30代の日本人です。カナダへ来る前は主に日本で留学生のサポート業務に携わっていましたが、実務に携わる中でより教育についての理解を深めたいという気持ちが次第に高まり、2018年から大学院進学の準備を開始。今年2020年の9月からカナダのブリティッシュコロンビア州の大学にて教育学修士課程1年に在籍しています。今は、多文化主義を掲げるカナダの教育現場における、多様な文化・言語背景を持つ子どもたちへ向けての実践と課題について学んでいます。自分自身が留学生だったり、移民支援サポートに携わった経験から、どうすれば留学生や移民家族の子どもたちといった「外からの人たち」と、受け入れ地域・コミュニティに住む人々といった「内の人たち」が共に学び合い双方にとって住みよい社会づくりを実現していけるのか、教育的アプローチを通じて模索していきたいと考えています。

そんな目標を胸に、まず最初の学期は必修科目(core course)の一つResearch Method(研究手法)と、Leadership in Social Justice and Inclusion (社会正義と包摂のリーダーシップ )を履修しました。コロナの影響で、他の授業同様、これらの科目もオンライン授業でした。各自リーディングと課題に取り組みつつ、週に一度2〜3時間、ディスカッションを中心とした同期型の授業に参加するという形で、評価は授業参加、論文、エッセイ、ジャーナル、そしてグループでのプロジェクトによって決定します。

各々の授業の感想や内容は、別途詳しく書き残そうと思いますが、まずは全体として感じたことを書き留めたいと思います。

オンライン授業について:日本でもかなり賛否が見受けられた大学のオンライン授業ですが、カナダではコロナの影響が出始めた3月中旬から多くの大規模大学が一斉にオンライン授業への移行しました。コロナ以前から、MOOCsなど、オープンカレッジの存在感は高まりを見せていましたが、このコロナを経て、その流れが一層加速したように見受けられます。3月といえば、私も複数校の大学院から入学審査の合否を胃をキリキリさせながら待っていた時期で、できれば対面での授業に参加したいという思いも少なからずあったので、各校の動向がとても気になりました。しかし、私の受験した全ての大学はオンライン授業へ移行しました。そういった状況で、オンライン授業への不安や迷いがゼロでスタートしたわけではありませんが、結果として私はオンライン授業でも非常に満足感の高い時間を過ごすことができたと振り返ります。

まず、私にとって勉強と子育ての両立は常に非常に大きな課題です。その点、場所や時間を選ばず自分のペース(とは言っても追われ続けましたが)大学のシステムにアクセスし勉強を進められるのは利点が大きかったです。また、クラスメイトの多くが仕事を持つ社会人のため、彼らにとっても時間的融通が利くことは大きいでしょう。また、内容面についても、各自が大量のリーディングを行いトピックについて考えてから授業に臨むことが求められるので、ある意味自習が主になるので、その点でも特にオンライン化されたことによる問題は見当たりませんでした。さらに、通常は、学生が教授の研究室を訪れ質問などができるよう設定されるオフィスアワーも、随時アポイントメント制で教授とZoomすることができ、教授陣にとてもアクセスしやすく助かりました。

全体として、オンライン授業は既にある程度学習の目的が明確で関心あるトピックを自分で掘り下げていくことに喜びを感じる学生にとっては、とても相性の良い授業法と感じます。結局は、多くの時間は自分で読んだり、書いたり、研究することに費やすことになるからです。反対に、学部の新入生など幅広い分野から自分の興味を探究し始めた段階の人にとっては、対面だからこそ起こり得る他の学生との出逢いや化学反応といった、「縁」や「運」が大学生活の醍醐味でもあり、それらをオンライン授業が完全に代替することは難しいと感じます。そういった意味で、オンライン上でも人と人をつなぎ、コミュニティを創造するための工夫や仕掛けづくりには課題が多く残されていると感じました。

良し悪しそれぞれありますが、個人的には、オンライン授業であるが故に本来の学びの価値が減少してしまうといったマイナス面は特に感じることもなく、却って、自主性をもって学びに取り組む姿勢を培う良い方法だったと振り返ります。ただ、今後プログラムが進むにつれ研究を実施できるフィールドを探すことが必要となるので、その点、オンラインでどのようなことが可能なのかという点は、引き続き、不安要素でもあります。

ディスカッション中心の授業:

学習歴ばかり長くなつ一方、私は英語への苦手意識がとても高く、特に英語で自分の意見を述べるということになかなか自信を持てないため、ディスカッションを中心とした少人数授業を受けるのは、コース開始前からまさに戦々恐々としていました。こちらの学生は意見を述べるも慣れているので白熱し始めると、たちまち置いてきぼりになってしまうことも容易に想像できました。それ以前にも、私は、人が話しているときに、自分が入り込むタイミングをとることに特に始めの頃とても苦労し、結局、手を挙げて時間をもらってから話を始めるという方法に落ち着きました。黙ってしまうことだけは避けたかったので、どんな小さな意見でも、また下手な英語でも、さらに些細な質問でも、自分が学び、調べ、考えたことを伝えようという姿勢を保つのに必死でした。ありがたいことに、そういった姿勢や現地学生とは異なる視点や経験を肯定的に評価してくれている教授だったため、教授からのポジティブなフィードバックは、学期全体を通して大きな励みになりました。

とは言っても、私も授業前にかなり読み、考え、準備をした上で臨んでいるので、どうしても思考レベルと同じレベルで言語化することができない自分に、かなりのフラストレーションが溜まり、悔しい思いもしました(涙目)。さらに、英語力の問題に加え、抽象性の高い概念や複雑な思考を人にわかりやすく説明する・伝えるということの難しさも痛感しました。また、他の学生は、自分の以外の人が発表した内容を、うまく拾い、関連づけたり、発展させながら自分の意見を述べることが非常に巧みで、そのようなスキルもどうにか身につけたいと感じました。今までの社会人生活でも、物事を整理し人にわかりやすく説明するのが上手な人に出会ったことがありますが、改めて感心すると共に、私の今後の課題と再認識しました。

このように、英語力とディスカッション力については課題が多く残りましたが、ディスカッションを中心に据えた授業そのものは、自分自身の経験や知識を振り返りを通じて新たな概念と実践の関連付けを行い発展させたり、同じコンテンツを他の視点を借り学び直すことで新たな発見ができたりと、この上なく刺激的で面白い経験でした。今後の授業においても、ディスカッションは避けて通れない道なので、自分自身の経験や考えをどれだけ授業内容と関連付けながら掘り下げ、それらをわかりやすく人に伝えていく練習を重ねていきたいです。

ライティング量:

ある程度覚悟はしていましたが、それでも度肝を抜かれる分量の文章を、課題を通じ書きました。Paper, Essay, Reflective Journal, Annotated bibliography, Literature review, Article summary と呼ばれるものたちが課題でした。それぞれ特徴が違いますが、全体として書くことは面白かった!特にReflective Journalという学びの振り返り記録は、書くことを通じて現在までの自分の考えや経験を丁寧に振り返ったことで自分を深く知り理解するとても良い機会になりました。そして、これは自分自身でも発見だったのですが、自分自身を深く理解することが自分にとってエンパワメントに繋がりました。この経験は、今後、留学生などに向けてのプログラム開発をする上で立ち戻り参考にしたい経験だと感じます。

技術的なことも少し。今回、ライティングではGrammary とDeepLをかなり活用しました。今まで、英語で書くときは英語で考えなければ、という漠然としたプレッシャーがあったのですが、本当はこう伝えたい、ちょっとしたニュアンスや表現が出てこないがゆえに手が止まってしまうときや、思考が表面を滑っているように感じるときに、母語で考えてから翻訳することで書くのが楽になったり、レイヤーを一段掘り下げて考えることが可能になったりした気がします。そして、それを可能にするのは、やはり私にとっては日本語であることを実感しました。あまり頼りすぎると英語が上達しないので気をつけなくてはいけませんが、今後も私は日本語を利用しながら学んでいくことにしようと思います。

 

以上、両コースに共通して感じたことを記しましたが、改めて、社会人を経てからの勉強の面白さに感動しています。睡魔、肌荒れ、クマと戦いながら何をやってんだ?と思う瞬間も、あーーー!もう本当にだめかも。と思う瞬間も、やばいやばいやばいやばい。と冷や汗びっしょりのときもあるのですが、学ぶことで今まで漠然と感じていた感情や疑問、現象に名前がつき理解できるようになる課程や、新しいレンズを身につけることで今までと全く違う視点で物事が見えるようになる感覚、なかなか病みつきになりそうです。そして、学んでいることをどう実践に変換できるかという、学部時代はなかなかイメージが湧きにくかった部分もリアリティを持って考えられるようになったのが非常に大きいと感じます。きっとまた二学期が始まったら、こんな余裕な発言をしている自分を心底、何いってんだ。と恨むことになるとは思いますが、、、次セメスターはTheory and practice in curriculum studies (カリキュラム理論と実践)とICT in educational settings (教育現場でのICT)と、また面白そうな内容なので楽しみです。

さあ、冬休み、ずっと我慢させてしまった子どもと思い切り遊びながらリフレッシュしたいと思います。

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